I N D E X    S T O R Y    O N L I N E
 


「骨髄移植ってなにさ?」
Q&

Q.骨髄移植が必要な病気(患者)とは?
Q.骨髄とは?
Q.なぜ骨髄移植をするのか?
Q.ドナーとは?
Q.HLAとは?
Q.血族間(両親、姉妹姉妹、親戚)とのHLAの適合確率は?
Q.非血族(血が繋がらない人)とのHLAの適合の確率は?
Q.適合ドナーが見つからなかった場合は?
Q.適合ドナーが見つかったら?
Q.適合ドナー候補者が「NO」と言える権利は?
Q.骨髄献血の前に準備することは?
Q.患者に考えられる危険は?
Q.骨髄提供に痛みは伴なうか?
Q.ドナーに考えられる危険性は?
Q.ドナーの入院期間は?
Q.骨髄の移植の方法は?
Q.ドナーと患者は面会できませすか?
Q.骨髄移植の成功が分かるのはいつ?
Q.実際にドナーになる確率は?
Q.骨髄ドナーになった場合のコストの負担は?
Q.1度骨髄提供をした後、もう1度提供することは?
Q.では、骨髄ドナー登録するには?



参考
NMDPオリエンテーション・ガイド:全米血液資源教育プログラム,全米骨髄ドナープログラム
Bone Marrow Transplants "a Book of Basics For Patients":BMT Newsletter (c) 1992:Susan.L.Schwartz
骨髄バンク 「一人のために」から「みんなのために」へ,(C)1994 中公新書1219:十字猛夫
骨髄バンク入門 -Give Marrow Create New Life-,(C)1990:佐治博夫,十字猛夫,高橋孝喜

※このテキストは、日本骨髄バンクではなくNMDP(全米骨髄バンク)の資料を元に作成しています。よって、日本の事情とは若干の相違があり得ます。予めご了承下さい。
また、専門医の手による編集ではありませんので、誤解や謝った記述が存在するかもしれません。





■はじめに

『骨髄移植』はかつては不治の病と考えられていた病気を治療する比較的新しい医療処置です。
1968年に第1例が成功して以来、『白血病』や『重度の再生不良性貧血』と診断された患者の治療に骨髄移植は用いられてきました。
今日では毎年何千人もの命がこの骨髄移植で救われていますが、それでも移植を必要とする患者の実に70%が、適切な骨髄ドナーが見つからないために、移植を受けることができずにいます。
この70%の人たちのために、ドナーを探す組織が『骨髄バンク』です。


■骨髄移植が必要な病気(患者)とは?

1.白血病
2.重度の再生不良性貧血
3.リンパ腫(ホジキン病など)
4.多発性骨髄腫
5.免疫不全症
6.その他の固形ガン(乳ガンや卵巣ガンなど)


■骨髄とは?

人間の身体の中にある骨というのは、『ちくわ』や『ストロー』のように、中心部が空洞になっています。この骨の中心の空洞部にあるゼリー状の物質が『骨髄』です。
主に、血を造るという重要な働きがあります。
読みは、「こつずい」です。よく脊髄(せきずい)と混同してしまう人がいますが、全くの別物です。
焼き鳥屋で、鳥の骨を折ったとき、オレンジ色のドロリとしたゼリー状の何かを見たことがないでしょうか?あれが骨髄だと思ってください。


■なぜ骨髄移植をするのか?

骨髄移植が必要となる病気では、当然ながら『骨髄』の働きがおかしくなっています。
骨髄が悪くなり、正常な血液を作り出せないのです。
つまり、ある未熟な血球が過剰に作り出されたり(白血病)、血球数が低くなったり(再生不良性貧血)するわけです。
こうした不良な骨髄を、正常な骨髄と入れ返る部品交換のように考えてください。
その交換作業が『骨髄移植』であると考えれば分かり易いでしょう。


■ドナーとは?

骨髄移植が必要な患者さんに、正常な骨髄を分けてあげる人のことです(海外)。
(日本では、ドナーを骨髄提供希望者としていて、実際の骨髄提供者とは分けています)
ただ、これは誰でも良いというわけではなく、実際のドナーになるためには幾つかの資格があります。
1.提供に関して法的に責任のとれる年齢であること
2.慎重な診察・検査で、健康上に問題がないこと
この2つが、主な資格の条件です。


■HLAとは?

白血球上にある物質で、人それぞれ様々な型のHLAを持っています。
要するに、白血球の血液型と考えれば良いでしょう。
ただ、私たちが良く知る赤血球の「A」「B」「O」「AB」型といった単純なものではなく、もっと高度に複雑に分類されるものです。
骨髄移植を実際に成功させるには、ドナーと患者のHLAが一致している必要があります。


■血族間(両親、姉妹姉妹、親戚)とのHLAの適合確率は?

HLAの型は、遺伝します。
もっとも適合の確率が高いのは、姉妹姉妹で、この場合は25%。
4人に1人の割合です。その他は、たとえ両親であっても適合の確率はあまり高くありません。
血族間でドナーが見つかる確率は、大体30%程度だと言われています。


非血族(血が繋がらない人)とのHLAの適合の確率は?

民族や人種、HLA型の珍しさなどによって大きく変わってきます。
たとえば日本人の場合、殆ど単一民族国家に等しく、違う人種と血が交じり合うことが少なかったせいで、適合の確率は他の人種と比較して高めです。
具体的な数値でいえば、500人〜10万人に1人の確率と言われています。


■適合ドナーが見つからなかった場合は?

適合ドナーが見つからない場合の最終的な結果は、大多数の症例では病気による『死』です。
移植なしで生き延びる患者もいますが、極少数。20%以下です。


■適合ドナーが見つかったら?

次のステップとして、ドナー候補者に『骨髄提供』を実際にするか決めてもらうことになります。
ボランティアである故、いかなる法的な拘束・責任もありません。
しかし、骨髄移植が実施されるとなると、ある時期以降の患者は後戻りができなくなります。こうなると、患者の生命はドナー候補の決断ひとつにかかってくることになります。


■適合ドナー候補者が「NO」と言える権利は?

もちろんあります。
患者とHLA型が合致したと連絡があったから、候補者は度々『提供の意思』を確認されることになります。どの場合も、提供の意思を取り下げ、移植を拒否することは可能です。
しかし、『最終同意確認』に「OK」を1度出してからの拒否は、患者を殺すことになります。
良く考えましょう。


■骨髄献血の前に準備することは?

ドナーは完璧な健康チェックを移植の数週間前に受けます。
これを受ける以外には、特別な準備は必要ありません。


■患者に考えられる危険は?

骨髄移植の成功は、誰にも保障できません。未知の事例がなくなったわけではありませんし、一例一例の骨髄移植が医学的な道標になっているのです。
骨髄移植自体は確立した治療法ですが、まだまだ医療に関わる者としても学ばなければならない部分が多くあります。
そんな中、平均して70%くらいの患者が、骨髄移植後2年以上生存してます。


■ドナーに考えられる危険性は?

ほとんどありません。ただし、全くないとも言えません。
1969年以降、骨髄移植は世界で5000件以上が行われてきましたが、それに際して起こった死亡事故が全部で2件あります。イタリアで1件、日本で1件です。
また、死亡に至らずとも、全身麻酔には危険性が少なからず伴ないます。
他にもイレギュラーな事故として、骨髄を採取する注射の針が腰に刺さったまま折れたりすることも、とても小さな可能性ですがあり得ます。
ですが、これらの事故は極めて起こり難いとされています。
よく交通事故を引き合いに出しますが、それくらいの確率です。


■ドナーの入院期間は?

入院の時期は、骨髄移植が行われる前日が一般的です。
それから、移植のあと大体2日間入院をすることになります。
人によっては伸びることもありますが、大体4〜5日程度と考えればよいでしょう。


■骨髄提供に痛みは伴なうか?

個人差がありますが、大抵の場合は痛みを伴ないます。
特に注射針を刺した腰の部分には、重たく疼くような違和感が感じられるでしょう。
少なくとも3〜4日は、骨盤のあたりがある程度痛むと考えて下さい。


■骨髄の移植の方法は?

患者は、『輸血』と同じようにして骨髄液を受け入れます。
骨髄は血液に似た液状の成分で、経静脈的に輸入されます。循環血液中にはいれば、生理的な機構が働きます。患者の不良(病的)な骨髄に代わり、骨髄腔内に自然に移植骨髄が生着します。骨髄移植に関しては、ドナーと違い患者は一切の痛みを感じません。


■ドナーと患者は面会できませすか?

普通は面会しません。しかし、骨髄提供を決意した時点、患者の入院期間中、或いはそれ以降もり、ドナーが望めば患者の状態に関する報告を受けることになります。
しかし、ドナーと患者の面会が実際に行われたことは実際に何度かあり、NMDP(アメリカ骨髄バンク)で最初に行われた非血族者間骨髄移植の患者『ブルック・ウォード』当時6歳の少女と、ドナーである『ダイアン・ウォルターズ』当時49歳の女性も、1989年のNMDP記念イベントで感動的な対面を果たしています。
このイベントの模様は、日本でも衛星中継でTV放映されました。
ただし、これはあくまで欧米のケースであり、日本の骨髄バンクでは頑なに患者とドナーの面会を阻止ししようとします。
手紙のやりとりさえ、名前を明らかにさせず、1度だけしか許しません。


■骨髄移植の成功が分かるのはいつ?

「生着」の最初の徴候は、移植が行われてから約2週間後に見られます。
この「生着」とは新しい骨髄が患者の体内に根付き、新たに血液細胞の新生をはじめたことを意味します。ある意味で、成功のサインです。
それ以降、白血球は増えつづけ、更に血小板の生産も始まります。移植後4〜6週間で無菌室治療は終わり、一般病室に戻ります。患者の退院は100日が目処です。


■実際にドナーになる確率は?

不明です。あなたのHLA型がどれくらい珍しいかにもよりますし、たとえ万が一の確率であなたと患者の型が適合しても、骨髄提供をその時点で断ればドナーになる確率はゼロになります。
全ては運とあなたの意思次第で、確率は大きく変動します。

これは編集者の勝手な算出になりますが・・・・・・
2001年3月時点の『ドナー登録者数』=13万5847人
2001年3月時点の『骨髄移植実施回数』=『ドナーになった人数』=3264人
つまり、大まかな数値だと『3千/13万5千』が、実際にドナー候補になりうる確率になります。
より分かり易い数値にすると、0.024%。5000人に1人ですね。
1つの目安になるかと思います。


■骨髄ドナーになった場合のコストの負担は?

日本の場合、入院費用・検査費用・交通費など一切がドナーの負担とはなりません。
これらは患者が負担したり、医療保険や財団の援助金がカバーすることになります。
ドナー側の経済的な負担はありません。
ただし、日本では社会的なシステムの整備が遅れていて、移植のために会社を休むことになっても、多くの場合で何の保障もしてくれはしません。ただの欠勤扱いとなる場合が多いでしょう。
この点での経済的な損失は、結局ドナーが負うことになります。
近年、これは問題視されつつあります。


■1度骨髄提供をした後、もう1度提供することは?

骨髄は短期間で再生し、完全に元通りになるものですので、提供を繰り返すことは可能です。
非常に稀なことですが、以前骨髄を提供した経験を持つドナーが、別の患者に提供するということはあり得る話です。医学的には何の問題もありません。

・・・・・・ただし、上記はNMDP(アメリカ骨髄バンク)の見解です。
日本では、何故か1度骨髄提供すると1年間は再度提供ができないというシステムになっています。


■では、骨髄ドナー登録するには?

市役所や保健所で、ドナー登録を受け付けているお近くの施設をお尋ね下さい。
そこに予め電話、あるいは郵便で予約を入れると事は簡単に運びます。
また予約前に、骨髄移植推進財団(骨髄バンク)が発行している手引き書『チャンス』を読み、理解を深めておくことをお薦めします。
『チャンス』は財団に郵送を依頼するか、一部の保健所や献血所などで直接手に入れることができます。

●財団法人 骨髄移植推進財団

 郵便番号:160−0005
 住所:東京都新宿区新宿 2−13−12 新宿ISビル8階
 電話:03(3355)5041
 FAX:03(3355)5090






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